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地域の人とつながり、県産材を通して山形の森林を元気にしよう

目的

 附属特別支援学校高等部の各教科等を合わせて指導を行う指導形態の1つである作業学習(木工グループ)の授業で、森林保全に関わる材木店の方や村山総合支庁森林整備課の方との出会いから、県産材を使うことで「消費者・生産者・地球環境のみんなが喜ぶ」ということの実感と行動の変革を促す。

概要

 山形県では、林業に従事する労働者が減り、手入れの進まない人工林が増加することで、森林の荒廃が静かに進んでいます。そこで県では、森林の多面的機能の維持と調和を大事にして、地域の豊かな森林資源を活用して雇用創出を図り、地域全体の活性化につなげていく「やまがた森林ノミクス」という取組みを行っています。県産材を利用することもその一環であり、森林の多面的な役割を守ってくれる林業家にお金が入り、林業家は森林の手入れができ、山形の森を持続可能にするサイクルを回すことができます。そこで、持続可能な社会づくりの視点から、作業学習で使用する木材の選択による影響について考え、県産材を扱うことによる効果について学びながら製品作りを行うこととしました。
 導入では、10月末のバザー時に行ったアンケートに「県産材を使って製品を作ってはどうか。」という意見があることをきっかけにして、「県産材とは何か。」「県産材を使うとどんな良いことがあるのか。」といった学習問題を設定しました。その後、実際に森林保全に関わっている村山総合支庁森林整備課の方や地元の材木店の方と出会ってかかわることで、県産材を買って使用することが周りに与える影響について生徒が自ら興味を持って探究し、箸を製作することに決定しました。
 製作では、試作した箸を自分たちで使ってみて感じたことを製品化に活かしたり、買い手となる附属幼稚園の園児のことを考えて箸の長さやデザインを考えたりすることで、生徒自ら仕上がり具合をよく確かめてよい良い製品づくりに努める姿が見られました。
 バザーで製品を販売する際には、県の「やまがた森林ノミクス」を推進することで地域に貢献し、幼稚園児やその保護者なども製品を購入することで持続可能な社会づくりに貢献できるということを伝えるようにしたことで、「やまがた森林ノミクス」について広めることができました。
 以下は、授業づくりにおいて大切にしたESD(持続可能な開発のための教育)の視点や資質・能力及び価値観です。

・本学習で働かせるESDの視点(見方・考え方)
【相互性】木材の地産地消をすることが環境保全に影響すること。
【有限性】森林は有限な資源であり、適切に使用しなければ地球環境に大きな負荷を掛けること。
【責任性】私たちが地球環境のことを考えて行動を変えていくことが何よりも大切であること。
・本学習で育てたいESDの資質・能力
【クリティカルシンキング】生産者や地球環境に配慮しているかについて、自分たちにとって身近な材料から見つめ直す。
【システムズシンキング】木材が森林で育てられ、伐採、加工、輸送されて自分たちの手元に届くことを理解する。県産材を使うことで、森林の多面的な役割を守ってくれる林業家にお金が入り、林業家が山形の森を元気にする取組ができ、山形県や山形市の森林が持続可能になる。
【協働的問題解決力】森林保全にかかわっている方々や身近な仲間、教師と協力して、県産材を使用した製品の製作や販売に取り組む。
・本学習で変容を促すESDの価値観
【自然環境、生態系の保全を重視する】県産材を使用することで、森林が手入れされて持続可能になったり、資源の無駄遣いを防止したりすることができるため、積極的に使用するとよい。
【世代間の公正】現在だけでなく、将来にわたって地球環境を豊かにするために、使用する木材の選択が大切である。

 本実践について、令和2年12月19日にオンラインで開催されたESD推進ネットワーク全国フォーラム2020の分科会②―1【学校と地域が連携してSDGsの人材育成を進める学習指導(プログラム)案の作成と実践】において話題提供を行いました。

単元の構想図

箸づくりの様子

代表者、担当組織

附属特別支援学校

担当学部

附属学校園

連絡先

yfuyo@med.id.yamagata-u.ac.jp

このプロジェクトを支援

山形大学基金(附属学校(園)への支援)

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