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山形県初代県令・三島通庸の研究

目的

山形県の初代県令をつとめた明治時代の官僚・三島通庸の思想と行動の歴史学的検討から、彼が国家・地域に果たした役割を明らかにすべく研究しています。

概要

代表者は山形大学に着任以来、薩摩藩出身で明治時代に官僚をつとめた三島通庸(みしまみちつね・1835~1888)について研究をしています。三島は山形県・福島県・栃木県の県令(現在の県知事)として地方行政に与ったほか、内務省土木局長・警視総監として中央行政にも参与しています。山形県令時代には、道路・橋梁・電信など交通・情報インフラを整備したほか、県都の建設、具体的には山形県師範学校(教員養成学校)・済生館(県立病院)・千歳園(農業試験場)・勧業製糸場・水力機織場・博物館・各種授産施設・警察署などを建設し、交通・通信・教育・衛生・産業・福祉・警察など各種行政に多大な影響をもたらしました。例えば、済生館は医師不足を解消するための医師養成の担い手としても機能し、水力機織場は県下の警察官・監獄職員の制服の生地を自給自足するために設けられたものでした。それゆえ、彼の思想と行動を考察することは、山形におけるSDGsの歩みを歴史的に跡付けることにもつながります。2021年度からは5年間、 文部科学省の科学研究費助成事業(若手研究)「三島通庸の思想と行動に関する総合的研究」を立ち上げ、本格的な研究に着手したところです。研究成果は研究論文や市民講座などを通じて広く公開してゆきます。

○研究成果の概要紹介
・「山形県の県都を建設したのは三島通庸か?薄井龍之か?」(『山形史学研究』第49号、2021年)
この論文では、江戸時代から明治時代にかけての山形の都市空間の変容を検討しました。江戸時代の山形では、武士が政治を行う山形城(=郭内)と、商業者が生業を営む山形城下(=郭外)という土地利用がなされていましたが、三島通庸は従来郭内にあった政治の中心(=県庁)を郭外に移転することで、郭外を政治・経済の中枢とする都市計画を実施しました。これにより、武士(支配者)と商人(被支配者)という江戸時代の身分が打破される結果をもたらしましたが、同時に、郭外に富裕層が、郭内に貧困層が集中するという、経済格差を表象するような都市空間が誕生することにもなりました。三島の作った都市空間が、その後の都市空間の動向にどのように結び付いたのかは、今後の検討課題です。

○研究成果(著書・論文)
「山形県にサクランボを導入したのは三島通庸か?」(『山形史学研究』第48号、2020年)
「山形県の県都を建設したのは三島通庸か?薄井龍之か?」(『山形史学研究』第49号、2021年)
「山形県に残る郡役所文書」(『山形県県史だより』第19号、2021年)
『小白川キャンパスの100年 旧制山形高等学校から山形大学への歩み』(ふすま同窓会・山形大学附属博物館、2021年)
「三島通庸における〝伝統〟と〝革新〟―山形県政と儒教の関係― 」(『歴史』第138輯、2022年)
「山形県サクランボ史事始め」(『山形史学研究』50、2022年)
『東北史講義【近世・近現代篇】』(筑摩書房、2023年)
「三島通庸県令期における山形県の電信と地域社会」(『郵政博物館研究紀要』14、2023年)
「三島通庸と「洗心学校」・袖崎小学校の校歌」(『三島通庸通信』3、2023年)
「三島通庸の〝遷都〟の思想」(『山形市郷土館だより』97、2023年)

○研究成果(口頭発表)
「山形県にサクランボを導入したのは三島通庸か?」(2019年度山形史学研究会大会、2019年9月28日)
「山形県初代県令 三島通庸の業績を探る」(山形市中央公民館「地域と共に考えるまちづくり講座」、2019年9月30日)
「地図と写真から読み解く三島通庸の山形県都建設」(2020年台湾師範大学受け入れ事業「山形学」講座、2020年2月13日)
「三島通庸の思想的考察―山形県令期を中心に― 」(2021年度山形史学研究会大会、2021年9月23日)
「三島通庸県令期における山形県の電信と地域社会」(郵政歴史文化研究会分科会(第4分科会)、2021年9月29日)
「地方文書・区有文書から探る三島通庸の山形県政」(令和3年度山形大学附属博物館公開講座「山形大学附属博物館の眠れる史料を呼び起こす!」、2021年10月23日)
「なぜ山形大学附属博物館が地域の記憶をアーカイブするのか? 」(2021年度山形大学地域連携プラットフォーム構築プロジェクトキックオフフォーラム「はじめます、未来のまちと人のためのアーカイブづくり、 2022年2月11日)
「山形県令・三島通庸の空間認識~イザベラ・バードとの対比から~ 」(イザベラ・バード顕彰碑建立記念研修会、2022年3月26日)
「道路建設が交流人口を生む? 「道路県令」三島通庸から考える」(第2回ヤマガタ移住・定住大学・第96回最上夜学・第38回もがみイブニングサロン、2022年6月17日)
「三島通庸が目指していたのは「開化」か?それとも「復古」か?はたまたそのいずれでもないのか?」(第100回内務省研究会、2022年6月26日)
「三島通庸と山形県」(山形大学認定都市・地域学研究ユニット2022年度公開講座「山形の魅力再発見Part20」、2022年7月9日)
「山形の礎をつくった初代の山形県令・三島通庸の人物像について学ぶ「特別授業」」(村山市立袖崎小学校、2022年8月22日)
「七日町の過去・現在・未来」(「ななはく!2022 まちの記憶市」、2022年9月19日)
「山形県サクランボ史における三島通庸の役割」(2022年度山形史学研究会大会、2022年9月24日)
「初代山形県令三島通庸と地理書刊行」(2022年度東北史学会大会、2022年10月2日)

山形県師範学校(山形大学地域教育文化学部の前身)

済生館

関連サイト

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13089/

https://researchmap.jp/keisuke_obata/

代表者、担当組織

小幡 圭祐

担当学部

人文社会科学部

連絡先

obata@human.kj.yamagata-u.ac.jp

このプロジェクトを支援

山形大学基金(学部等への支援)
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