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歴史学プログラムの教育実践

目的

歴史学プログラムでは、日々の授業(専門教育科目・基盤共通教育科目)において、SDGsに関するさまざまな問題を学生とともに考える教育カリキュラムを企画・実践しています。

概要

歴史学プログラムは、山形大学人文社会科学部人間文化コースの5プログラムの一つで、日本史・アジア史・ヨーロッパ史の教員が専門とする研究を推進するとともに、幅広いニーズに対応した教育を実践しています。特に、下記の授業では、SDGsに関する問題を直接取り上げ、現代社会の問題点を歴史的経緯を踏まえて考えることのできる人材を養成することに取り組んでいます。

○専門教育科目
・「日本歴史文化論(日本学入門)」
人文社会科学部の1年生が初めて受ける専門教育科目の一つです。「日本」を多角的に理解するために、日本と東アジアの歴史的交流とその意義について基本的な理解を深めることを目的とするオムニバス授業です。特に、日本近代史を専門とする小幡の担当範囲では、戦前に日本の植民地支配を受けた台湾・韓国・中国東北部(「満洲」)・東南アジアとの関係について、注目されがちな日本が植民地の文化に与えた影響ではなく、チョコレート・崔承喜・ハルビン交響楽団・「ブンガワン・ソロ」といった、植民地が日本の文化に与えた影響について考えます。モンゴル史を専門とする中村の担当範囲では、日本の支配下に入った東部内モンゴルを例に、過酷な現実のなかで苦闘し模索する人々の姿を多角的に分析し、植民地支配が何をもたらすのか学生に考えてもらいます。これらの授業を通じて、現代の国際社会の「平和」のあり方について、歴史的な経緯を踏まえて考える力を養います。

・「内陸アジア史概論」
人文社会科学部の2年生向けの専門教育科目です。テーマは遊牧民と都市の歴史です。遊牧と都市は一見矛盾する概念に見えますが、内陸アジア史において両者は不可分の存在でした。歴代の遊牧国家における都市との関係、都市の建設過程やそれを取り巻く自然環境の特徴、歴史的意義を学びます。異文化との接触が、対立だけではなく、受容から変容へつながる。そのダイナミズムを繙きながら、都市・文化・共生について学生に考えてもらいます。

・「日本近代史特殊講義b」
人文社会科学部の3年生向けの専門教育科目です。本授業では、例えば「国際平和に献身した」とされる、外交官で国際司法裁判所所長をつとめた安達峰一郎(1869~1934)や、戦時に最終戦争論、戦後に戦争放棄論を主張した陸軍軍人の石原莞爾(1889~1949)など、山形県出身もしくは山形県に関係の深い人物の生涯=人物史を扱います。彼らの思想や行動を、当時の時代背景を踏まえて再検討することを通じて、彼らの目を通じた「戦争」や「平和」の実像を知るとともに、現代の常識にとらわれないものの見方を養います。

○基盤共通教育科目
・「明治時代の文化と社会(歴史学)」
・「渋沢栄一と明治社会(人間を考える・共生を考える)」
1年生向けに開講される基盤共通教育科目の一つです。高校の日本史の授業では等閑視されがちな、衣食住などの生活に根ざした文化や、ごく普通の人々が生きた社会の歴史を学ぶとともに、歴史的な視点から現代のさまざまな問題を考えるための構えを養うことを目的とします。特に、後者の社会については、明治日本の都市にできた「貧民窟」(スラム)やそこで生活する人々の衣食住、男性や女性が社会から要請される「あるべき姿」の実像から、現代における貧困や性差の問題を客観的な視座から考察できる力を養います。

・「モンゴル遊牧民の歴史(人間を考える)」
1年生向けの選択必修科目です。歴史を題材に「人間の多様性」について学生に考えてもらうための授業です。現代モンゴルにおける遊牧民の暮らしに始まり、ウランバートルの都市生活、南北モンゴルの言語文化の違い、そして「ノモンハン事件」など20世紀モンゴル史における日本の関与など、さまざまな題材を投げかけます。モンゴルとは何か?という最初の問いが、やがて、日本とは何か、国家とは何か、平和とは何か・・・そして、自分とは何かという問いへ繋がっていきます。

「モンゴル遊牧民の歴史(人間を考える)」のイメージ

ドローンで撮影したウイグル時代の都城オルド・バリクの遺構(中村撮影)

「日本歴史文化論(日本学入門)」のイメージ

日本にインドネシアの民謡「ブンガワンソロ」を紹介した高津トシ(松田トシ)の『南方民謡集』

関連サイト

http://www.yamagata-u.ac.jp/gakumu/syllabus/2021/html/31_12003.html

http://www.yamagata-u.ac.jp/gakumu/syllabus/2021/html/05_57126.html

代表者、担当組織

歴史学プログラム

担当学部

人文社会科学部

連絡先

natsushi@human.kj.yamagata-u.ac.jp(中村篤志) obata@human.kj.yamagata-u.ac.jp(小幡圭祐)

関係者、共同実施者

【中村篤志】【小幡圭祐】【山﨑彰】【佐藤真海】

このプロジェクトを支援

山形大学基金(学部等への支援)
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