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移民社会における多文化共生論

目的

 国外出身または異文化をルーツに持つ日本居住者の増加構造を分析し、移民社会としての東北(特に山形県と宮城県)が直面する諸課題を解明するために、分野横断型研究拠点を立ち上げます。

概要

○プロジェクトの概要
 日本はすでに移民大国です。在留外国人数は288万人、外国人労働者は172万人と前例のないレベルに達しています(2020年末現在)。外国人労働者の増加は少子高齢化の日本において構造的に不可避であり、一時的な現象ではありません。これまで外国人労働者の数が比較的少なかった東北でも全域で技能実習生等が急増しており、特定の産業には深い影響を与えています。例えば、東北の遠洋漁業はすでに外国人労働者抜きには持続不可能な状態であり、介護・ケア人材も外国人労働者抜きでは考えられない状況になりつつあります。この状況を踏まえ、今日、自治体・企業・コミュニティにおいて「共存」への知見が求められています。
 本企画では、人文社会系の多彩な研究者が、暮らし・人権・法制度・労働環境・言語教育など幅広い視点から情報と論点を整理するとともに、対象グループに関する質的及び数的調査を実施することでベースラインとなる一次データを収集・分析することで、「共存」への知見を提供できる分野横断型の研究拠点を確立すべく活動しています。現在は、定期的に研究会を催し、ここに多彩な学外講師を招くなどして、有効な研究の枠組みと研究方法を確立するための検討を行っているところです。また、学内のデータサイエンス教育研究推進センター(https://www.yamagata-univ-derp.org/)と連携して収集したデータを数理科学的に解析するなど、文理融合型の拠点形成を進めていきます。

○研究会の実施状況
2021年7月14日 第1回研究会
 今村真央(山形大学人文社会科学部)「これまでの経緯とこれから」
2021年7月28日 第2回研究会
 小幡圭祐(山形大学人文社会科学部)「東北地方における移民(外国人労働者)受け入れをめぐる現状と課題」
 源島穣(山形大学人文社会科学部)「福祉国家の社会統合機能に注目した移民研究」
2021年8月11日 第3回研究会
 本多広樹(山形大学人文社会科学部)「人文地理学分野における外国人居住者研究」
2021年8月25日 第4回研究会
 今泉智子(山形大学学士課程基盤教育機構)「外国にルーツをもつ子どもの支援~全国の現状と山形県の活動事例~」
2021年9月8日 第5回研究会
 中澤信幸(山形大学人文社会科学部)「世界と日本の言語政策」
2021年9月22日 第6回研究会
 長津一史(東洋大学社会学部)「気仙沼とインドネシア−マグロをめぐる移動社会史の素描」
2021年10月13日 第7回研究会
 中澤信幸(人文社会科学部)「続・世界と日本の言語政策」
2021年10月27日 第8回研究会
 生田慶穂(人文社会科学部)「日本と移民文学―「他者」の語りの意味―」

○研究会の紹介
・長津一史(東洋大学社会学部)「気仙沼とインドネシア−マグロをめぐる移動社会史の素描」(第6回研究会)
 宮城県気仙沼市はインドシアとの関係がたいへん深い。同国の青年は、30年以上前から気仙沼を拠点とする遠洋・近海マグロ漁船等に乗り、市の基幹産業である漁業を支えてきた。現在、遠洋マグロ船の船員では、たとえば23人中19人がインドネシア人、4人が日本人と、乗員の3分の2以上をインドネシア人が占めている。東日本大震災以後は、水産加工業等で技能実習生として働くインドネシア人が増えた。2018年、技能実習生の人口は200人強になった。一時的に滞在する漁船員をあわせると、同市に滞在するインドネシア人の数は1000人をゆうに越える。人口約6万の同市で、インドネシア人の存在はきわだっている。
 気仙沼の人びとは、産業以外でも、インドネシアと独自の関係を紡いできた。2002年には、商工会議所が夏の港まつりの一環としてインドネシア・パレード(初期はバリ・パレード)を企画、2011年に震災で中止を余儀なくされたものの、翌年には再開され、2019年には第17回を数えた。パレードには多くのインドネシア人技能実習生が参加。またほぼ毎年、在京インドネシア大使が臨席する。こうした経緯があって、東日本大震災後の2011年6月には当時のインドネシア大統領ユドヨノが仮設住宅に住むパレード主催者を訪問。その後、インドネシア政府は復興資金として20万ドルを市に寄付した。市はこの予算を市立図書館の再建にあて、同館に「ユドヨノ友好こども館」を付設した。
 本トークでは、こうした気仙沼とインドネシアとの交流史、インドネシアの技能実習生と船員の就労状況や経歴をまず概観する。そのうえで、こうしたことを調べることで、何をどのように探ることができそうなのか、水産業(とくにマグロ)をめぐる移動の社会史という観点から展望してみたい。

宮城県気仙沼市の港の漁船。日本の国旗が掲げられていますが、搭乗しているのはほとんどがインドネシアの方々です。

Zoomでの第6回研究会の様子。

代表者、担当組織

小幡 圭祐

担当学部

人文社会科学部

連絡先

obata@human.kj.yamagata-u.ac.jp

関係者、共同実施者

【生田慶穂】【池田弘乃】【今泉智子(学士課程基盤教育機構)】【今村真央】【内海由美子(学士課程基盤教育機構)】【小幡圭祐】【源島穣】【中澤信幸】【中村文子】【中村篤志】【本多広樹】【丸山政己】【尤銘煌(学士課程基盤教育機構)】

このプロジェクトを支援

山形大学基金(学部等への支援)
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